役に立たない お 遍路 ガイド ④ やっぱり体はボロボロ、だけどちょっと回復?
どうも
パン屋のです。
開始早々から足がボロボロになり、
その足で「遍路ころがし」に挑んだサトシ。
歩みを進めることは出来るのでしょうか。
気持ちの良い特別な朝
しっかりと睡眠をとった朝は、やはり気持ちがいい。
そして、昨日の特別な時間をともにした人は短時間の付き合いながら、
もう特別な人となり、特別な人と迎える朝は、やはり気持ちがよかった。
一緒に顔を洗い身支度をし、サトシ以外の2人は納経をしているということだったので
納経所が開く時間まで一緒に時間を潰した。
昨夜は暗かったことと、ヘトヘトだったということもあり気が付かなかったけれど、
一二番札所”焼山寺”境内の参道にはたくさんの大きな杉が立ち並んでいて、
とても荘厳な雰囲気だった。
ヘロヘロな状況での新たなミッション
3人共にお寺を出発したものの、
足の具合は相変わらずというよりも
”遍路ころがし”を体に鞭打って越えた分ひどくなっていたので、
ペースが合わないと別々に歩くことにした。
今から向かう十三番札所“大日寺”までは30kmと、
お寺とお寺の間の距離が長い初めてのパターンの難所だった。
あせらずに一日かけて歩こうと、足を引きずるように無理せずに
時おり休憩し足をマッサージしながら歩みを進めた。
山道が終わり県道に出たところに食べ物が売ってそうなお店があったので、
食料調達しておくことに。
”ハウスみかん6個入り”普段ならまず自分では買わない。
このときの体が欲していたのか飛びつくように買い物かごへ。
そしてお店を出るなり2個食べ、また歩みを進めた。
昨日までは2~3時間おきくらいにお寺に着くことが出来る状況だったためか、
一日かけてと決心したものの単調な県道をひたすら歩き続けることは、
思っている以上に自分で自分に歩くようにと言い聞かせる必要があるなか、
いくら歩いても着く気がしない不安がつきまとった。
県道と平行して川が流れていて、上から見る限りはきれいそうで
冷たそうで、河原は涼しそうだった。
足を冷やしに行きたかったが、この足でいくにはあまりにも高低差があり、
上から涼しさを妄想するだけにしておいた。
遍路道での”お接待”
徳島に来てから毎日カンカン照りだが、この日も同じように暑く
喉の渇きはいちじるしかった。
持っていたお茶は底をつきお店や自動販売機を探すも、
道をそれてまで探す体力もなく、ただ遍路道を進むしか出来なかった。
そんな状況が続く中、あまりに喉が渇き限界を感じたので、
たまたま、前を通りすがった民家の方にお願いして、
空いたペットボトルに水を入れていただけないかとお願いした。
そんな、飛び込み営業みたいな事をしたことのないサトシの表情は
おそらく引くに値するものっだったであろうが、
快く引き受けてくれ、さらに冷蔵庫で冷やしていた水ももう一本くださった。
普段ならただ水をもらってもなにも感じなかったもしれないが、
すごくその気持ちが嬉しく感じられた。
その後も川沿いの県道という単調な道のりを歩き続けた。
自動販売機を見つけることも困難な状況だったので、
この日も朝に買った“ハウスみかん”しか口にしていなかった。
蛇行した県道の曲がり角に差し掛かるたびに自動販売機はないか?
食べ物屋はないかと気になっていた。
そしてまた曲がり角をこえて
“また、何もない”と落胆していた中
車が前に停まりサトシに声をかけてきた。
十三番札所“大日寺”まで「車に乗って行きませんか?」
と接待をしてくれるとのことでだったが、
サトシは“イヤイヤ、歩きに来たんだから、車に乗るなんて。”と
謎の自分ルールに従い、
「ありがとうございます。歩いていこうと思います。」と断ることにした。
えもいえぬフワフワ
またしばらく単調な道を進んでいき曲がり角に差しかかると、
食べ物屋らしき建物が目に入った。
いい感じにしなびた、いわゆる食堂な感じで
大阪でならまず入らないようなお店だったが、迷わずサトシはのれんをくぐった。
店へ入り“かけうどん”を頼むやいなや出てきたお茶を一気に飲み干すと、
それを見ていた“おかみさんは”
「お遍路してるの?」と言いながらお茶を注ぎ直してくれた。
「はい、そうです。」と答えて、またお茶を飲み、しばらく待っていると
「”お接待”で大盛りにしておいたね。」と、うどんを持て来てくれた。
お礼をいいペコペコだったお腹を、大盛りのうどんで満たしていくと
”おかみさん”がヨウカンを出しながら、
「しばらく涼んで、休憩していきなさい。」と声をかけてくれた。
疲れ切った体と一人歩き続けた孤独感を感じていた中、
午後から度々、人の優しさに触れることができ、
サトシがいままで感じたことのない、
体なのか心なのか、どことも言えないところが軽くなっていく感覚を感じていた。
お礼を言いお店を出たサトシはまた、遍路道へと歩みを進めることに、
すると不思議なことに心だけでなく体も軽くなった気がしていた。
(単純なので簡単にその気になるのだろう。)
そしてルンルン気分のまま十三番札所“大日寺”へと日没前に着くことができた。
サトシが境内で野宿の準備をしていると、学生さんらしいお遍路さんも到着したので、
挨拶だけ交わすと、今晩はこの人もこの境内で野宿をするとのことだった。
特設のベットルームで(ただ寝袋をひろげただけの。)体をやすめて、
チカちゃんに手紙を書き、この日は寝ることにした。
その学生さんとは離れた場所での野宿だったが、
境内に一人ではない事だけでいくらか心が休まる気がしていたサトシだった。